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陶彩画展 2025

今年の3月15日から約2か月に渡って開催した《2025年 世界遺産・東寺 陶彩画展》は、おかげさまで大盛況のうちに会期終了となりました。皆様のご来場、心より御礼申し上げます。

毎年多くの方にご来場いただいている陶彩画展。京都での展示風景を動画にて振り返りながら、特にご注目いただいた作品や関連商品をご紹介いたします。




▼展示風景のショート動画はこちら



 

◎陶彩画展で注目を集めた作品
麒麟


古代中国の神話に登場する「麒麟」は、他者を害することを避ける穏やかな性質を持ち、思いやりのある政治を行う聖人や賢者の出現を告げる瑞獣(ずいじゅう)として、長く尊ばれてきました。
陶彩画における『麒麟』は、凛としたまなざしと、焼き物ならではの艶やかな黄金の輝きをまとっています。それはまさに瑞獣の名にふさわしい神々しさを放ち、会場でもひときわ多くの視線を集めていました。


 

 

 

 

海王


今や工房を代表する作品となった『海王』。
潮の満ち引きを司るとされる神の宝、青い「潮満珠(しおみつたま)」と赤い「潮涸珠(しおふるたま)」を携え、波間から姿を現す龍が描かれています。今回の陶彩画展でも、本作の前では、その大胆な構図と見る角度で変化する龍の色彩が生む迫力と躍動感に惹かれ、海外からの来場者様も足を止めてじっくりと見入っていました。母なる海への畏敬と畏怖の念を込めて制作された本作は、言葉や文化の違いを越えて、人々の心に深く触れるのかもしれません。

 

 

 

 

 

はじまり


陶彩画『はじまり』の一面に広がる瑠璃色の背景は、堂内に漂う静けさと響き合いながら、より深みのある表情を見せていました。
水面は“心の膜”を象徴するように描かれ、そこを突き抜けて飛翔する龍の姿は、まるで内なる精神の限界を超えようとする意志そのもののようにも映ります。力強く天へと昇る龍の“動”と、堂内に満ちる静謐な空気や背景の瑠璃色がもたらす“静”。その対比が互いを引き立て合い、言葉では説明しきれないような感覚を、多くの鑑賞者の中に呼び起こしているようでした。

 


 

 

 

コノハナサクヤヒメ


東寺での陶彩画展は例年春に開催させていただくことが多く、今年も約200本の枝垂桜やソメイヨシノが満開を迎える中で開くことができました。
陶彩画『コノハナサクヤヒメ』にも、こうした日本の春の美しい風景が映し出されており、多くの方に春の趣をより豊かに感じていただきました。この作品に描かれているのは、富士を望み、桜が咲き誇る水辺にそっと腰を下ろすコノハナサクヤヒメの姿。水面に手をかざす佇まいからは、慎ましさと気品が感じられます。ところが、水面に目を向けると、そこに映っているのはコノハナサクヤヒメではなく、神話上で「醜い」とされる姉・イワナガヒメの姿。あえて揺らめく水面に異なる存在を描くことで、「美しさとは何か」という問いが、そっと投げかけられているようです。
見る人の心が、その答えを映し出す――。そんな作品の余韻が、多くの方の心に触れていました。

 

 

 

 

 

大日如来


焼き物としての匠の技術と圧倒的な存在感から、密教の本尊という枠を越えて、陶彩画ファンから高い評価を頂いている作品ですが、やはり東寺に展示する陶彩画『大日如来』は格別なものです。今年も会場では、当作品の前に静かに立ち止まり、放たれる光と向き合う来場者の姿が多く見られ、静謐なひとときを通して、多くの方々の心に深い感動を残していたのが印象的でした。
東寺は、真言密教の根本道場として境内全体が曼荼羅に見立てられ、大日如来像を中心に据える構成となっています。空海は、伽藍(がらん)という建築構成と、東寺に今も伝わる「両界曼荼羅(りょうかいまんだら)」という絵画の両面から、密教の世界観を視覚的に表そうとしました。そして彼は、「私たちの心や体、そしてこの世界すべてに、目には見えない変わらぬ真理がある」と説き、その真理を大日如来に重ねて捉えていたとも言われています。大日如来とは、遠くに在す仏ではなく、私たち一人ひとりの内にある“輝く本質”を象徴しているのかもしれません。

 

 

 

 

◎陶彩画展は東寺以外でも各都市で開催しています。ぜひその会場ならではの陶彩画の輝きをお楽しみくださいませ。開催情報はホームページにて随時更新しております。
▶公式ホームページ:https://kusaba-kazuhisa.com/exhibition/

 

 


陶彩画展や陶彩画及びその関連商品に関してご質問がございましたら、お気軽にお問合せくださいませ。


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